人事・労務情報

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会社の「メンタルヘルス対策」へのギモン

 

以前の記事で、「決してメンタル疾病のことを分かった気になってはいけない」と書きましたが、それでも人事・労務担当をやっていれば『ストレッサー』とか『ストレス反応』等の用語やその意味は分かるようになります。

 

『ストレッサー』とはストレスの原因になるものであり、『ストレス反応』とはストレスの結果としてイライラや憂鬱感などの症状が現れることをいうのですが、どうも会社のメンタルヘルス対策は『ストレス反応』ばかりに目を向けたものが多いような気がします。

 

EAP、カウンセラーとの契約、リラクゼーションルームの設置などもそうですし、長時間残業者への面談、管理者への研修による早期発見・対応の促進等についても、基本的には対症療法的に「不安定になっている本人の気持ちを落ち着ける」というアプローチです。

 

しかし、それで一定の効果があったとしても、原因となる『ストレッサー』が手つかずではまたストレス反応が出てきて、結局は何の解決にもならなかったということも少なくありません。

 

ですから、メンタルヘルスの問題に本腰を入れて取り組もうとするのであれば、『ストレッサー』を特定し、それを解消するといったアプローチがどうしても必要になります。カウンセラーの導入にしても、単に話し相手になるというのではなく、その人にとってのストレッサーは何かを探ってもらう役割に重きを置き、人事はそれを解消するのに全力を尽くすといった動き方になります。

 

 

こうなってくると、メンタルヘルスという分野だけで解決する問題ではなく、異動・配置などを含め人事全体の視点から問題解決を考えていく必要があります。『ストレッサー』はある人の精神だけでなく、他にも様々な弊害を会社にもたらしている可能性があるからです。

 

昨今ヘルスケアの仕事が人事の中でも独立性を持つようになっており、大企業では特にそれが顕著ですが、問題をモトから断つためにはそのような体制は決して得策ではないと、個人的には考えています。