人事・労務情報

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人事評価の対象にならないこと

 

私が人事評価研修でよく言うことですが、評価制度の運用においてもっとも避けなければならないことは「評価される仕事しかしない」という風土を作ってしまうことです。

 

評価制度には、『仕事の一部しか評価できない』という宿命(限界)があります。もちろん、組織にとって優先順位の高いものを重点的に評価するので、その人の組織への貢献度とそんなにギャップがあるものにはならないのが普通ですが、だからと言って『評価されない仕事はやりません』というのが認められるはずはありません。

 

 

例えば、飲み会や会社のイベントには来ないとか、同僚のプライベートなことには全く関心を示さないなど、業務外のコミュニケーションや関係作りを一切拒否する人がいたとします。
業務外のことなのでもちろん直接評価に響くということはありませんが、この人がどうなるかというと、他のメンバーからみて付き合いづらいということで職場で孤立します。そして、次第に戦力外となっていき、人事異動のときに「どこにも引き取ってくれる部門がない」という存在になってしまいます。

 

人事異動の仕事をした人ならわかると思うのですが、周囲とうまくやれなくて問題になっている人は、ある程度の能力がある人でも、その配属を決めるのに本当に苦労します。最後はもう本人の希望とか適性どころの話ではありません。「痛みは分かち合いましょう」みたいな感じで、人事が頼み込んでしぶしぶ異動を受け入れてもらうことになるので、当然のごとく重要な仕事は与えられず、完全なる悪循環に陥るという結末になります

 

 

「役割やチャンスが与えられないのが社員にとって最も残酷」と前回の記事で書きましたが、人事評価の対象にならないことを軽視する人は、このように最終的には不幸なことになる可能性が高いです。

 

上司の方も『評価の対象外となることは注意・指導してはいけない』と思い込んでいるケースがありますが、これはとんでもないことで、たとえ業務外の話であっても、それが本人や組織のためにならないことであれば(愛情をもって)指導するのが、上司の務めであると思うのです。

 

評価される仕事はほんの一部分、それ以外のことの中にも人として組織人として大切なことはたくさんある、という意識を、社員全員が強く持てるようにしたいものです。