人事・労務情報

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職務給=ポスト給?

 

人事コンサルタントの仕事をしていると、属人的給与(年齢給や職能給)の意外なまでの根強さを感じずにはいられませんが、まだまだ少数派ではあるものの、仕事給としての「役割給」「職務給」を取り入れる会社も徐々に増えてきているようです。

 

 

しかし、ここで気になるのが、「職務給」を『ポスト給』と解釈して運用している会社が少なからずあるということです。

 

「職務」の意味を広く捉え、その時の重要度や困難度、権限・責任の幅などをタイムリーに評価し、フレキシブルに給与に反映させるのであればいいのですが、「○○課の課長はいくら、○○業務リーダーはいくら」という風にポストに固定的な値段をつけることには賛成できません

 

なぜなら、この運用だと、社員の『ポスト志向性』を高めることにつながると思われるからです。

 

本当は、自分の役割や職責を自らが広げていくことで、仕事の価値を上げていくことを考えるべきなのに、ポストに就くことが目的化し、「同じポストであれば誰がやっても同じ給与」ということになれば、決して組織の生産性を上げる方向には向かわないでしょう。

 

確かに、ポストに主眼を置く制度はわかりやすいというメリットがありますし、日本人のメンタリティには合っているのかもしれませんが、ポストそのものに価値があるというような考え方を基本とした制度がなじむような時代ではない、と私は考えます。

 

 

ちなみに、「役割給」と「職務給」の違いですが、

 

同じポストであっても誰がやるかによって(貢献期待度に合わせて)変わること、自分で役割拡大や目標上積み等をすることによるアップも可能なこと、など、状況に合わせたフレキシブルな運用ができる限りは「同じもの」だと思っています。

 

ですから、どちらの言葉を使ってもいいのですが、私は「ポスト給」と混同されるのがイヤなので「役割給」または「役割・職責給」という言葉を使っています。

 

 

もちろん、すべての会社に最適であるということはいえませんが、
ポスト給ではない「職務給」「役割給」がこれからの賃金のスタンダードになるというのが私の意見なので、できるだけこの制度の思想を広めていきたいな、と考えています。