人事・労務情報
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内定がもらえない学生は・・・・・
厳しい就職状況が続いています。今年卒業の人でいまだ就職が決まっていないケースも多いようですし、次年度の就職市場についてもなかなか明るい話題は聞こえてきません。
このような「就職氷河期」の中での就活をする若者、とりわけ内定がなかなかもらえない人は、自分のキャリア形成についてどのように考えればいいのでしょうか?
キャリア形成については色々な考え方がありますが、私が最もしっくりくるのは、クランボルツ博士の提唱した【計画的偶発性理論】です。
簡単に言うと、人のキャリアの8割は(予定・意図されたものではなく)偶然のできごとによって決まる。そしてその偶然が起こる可能性は、日常の行動習慣によって決まるという説です。
偶然を引き起こす確率を高める行動習慣とは、例えば、
●社外のネットワークを積極的に作り出す
●一つのテーマを徹底的に掘り下げていく
●自分が得意としている分野以外のテーマに関与していく
といったものが挙げられると思います。
昔と違い、最初に入った会社でキャリアのすべてが決まるというようなことはないわけですから、なかなか内定がもらえない人は、(業種や職種、労働条件等を度外視してでも)とにかくいろいろな勉強ができそうな会社に入って、責任ある仕事を任せてもらうということを、まずは目指すのがいいでしょう。
いつまでも職探しに汲々としていたり、日々の生活費を稼ぐためにアルバイト等で単純労働を続けていたのでは、意味ある『偶然』に巡り合う可能性も極めて低くなるからです。
逆に、業種や職種、労働条件が自分の希望とはまるで違う会社であっても、いろいろな仕事のチャンスさえ与えられれば、本人の努力次第で意味ある『偶然』に巡り合う可能性は格段にアップし、その後のキャリア選択の幅が大きくなることが期待できます。
高校→大学→就職→その会社でのキャリア形成、という基本パターンが徐々に崩れ、「キャリアモデル」とか「キャリアプラン」という言葉も意味を成さなくなりつつあります。
最近では中学・高校でも職業教育に力を入れるようになりましたが、「思い通りの就職をするのは極めて難しい」という前提で自分の将来を考えるといった意識を、早期に醸成しておくことが必要だと、強く感じる今日この頃です。