人事・労務情報

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「住宅手当」のこれからの方向性

 

最近は住宅手当や社宅を廃止する会社が増えてきました。新たに設立された会社においては、住宅手当がある所を探すほうが難しいくらいです。

 

人件費の削減ということもありますが、それよりは会社側の人事管理のポリシー変化の方が大きそうです。
つまり、「会社は社員の住宅の面倒までみて当たりまえ」「賃貸住宅はあくまで仮住まい。持ち家に住んで一人前なのでそれまでは会社が支援すべき」といった昔の価値観ではなく、「賃金はあくまで労働(貢献)の対価。住宅という属人的要件を持ち込むべきではない」という考え方が主流になってきているということでしょう。

 

 

これはこれでもっともなことですが、だからと言ってすべての会社が「住宅手当や社宅は全面的に廃止すべきだ」とは、私は思いません。

 

人件費の配分をどのようにするかは、「どうすれば社員の納得感やモチベーション、ひいては成果の最大化につながるか」という視点で行う必要があります。他社がどのようにしているかではなく、自社のこれまでの経緯や社員の意識、組織風土などを総合的にみて、その会社独自の人事ポリシーを打ち出すべきです

 

 

もちろん、役割や成果に応じた賃金以外の手当が多いと、人材の流動化を妨げるというデメリットがありますが、人材の流動化を前提とするかどうかも各社の人事ポリシーによって違ってくると思います。

 

人材の多様化(ダイバーシティ)が多くの会社にとって課題となっていますが、人件費配分のあり方についても「世間並み」という発想は捨てて、その会社に合った「自社最適解」を考えるべき多様化の時代になってきているのではないでしょうか?