人事・労務情報

01
09

納得感の高い評価制度

 

評価制度の設計・運用は多くの会社で悩みのタネになっていますが、私は常々、「究極の評価システムは社員による相互評価である」と考えています。

 

 

仕事の成果がすべて数値で判定できる一部の例外を除き、『客観的な評価』を行うなど不可能なのですから、だったら『評価は主観をベースにする』というスタート地点に立って、それで納得感がありフェアなやり方がないかを考えた方がよいと思うのです。

 

 

相互評価とは、具体的には、高齢者向けの某病院で行っているように、日常の仕事でつながりがある人全員について、いくつかの項目(行動&仕事の成果)を感じたままに評価し、それをメインの材料として本人評価につなげようというものです。一つひとつを見れば主観の域を出ないかもしれませんが、同じような評価が多数集まれば、それはかなり客観的な評価ということができます。少なくとも、周囲にいる人たちから見て「なんであの人があの評価なの?」といったおかしな評価にはならないということで、一定の客観性や納得感を担保することが可能です。

 

さらに、いわば全社員が評価者になるわけですから、評価制度に対しての理解が深まり、本来の目的に沿った運用がなされて制度が定着しやすいというメリットもあります。

 

 

ただ、このやり方を行うにはどうしても必要な一つの条件があります。それは、「その会社にとって価値のある仕事(行動&成果)とは何か」が、社員のスミからスミまで徹底されていて、かつ、社員はそれに対して深く共感しているということです。つまり、会社の求心力が強くなくてはならず、これがなければ相互評価の絶対基準がブレてしまい、決して納得感ある評価にはつながりません。

 

もちろん、他にも細かな条件があります(職場に一定の人数が必要等)し、社員意識としても色々な抵抗感があるでしょうから、すべての組織がすぐにこういったしくみを導入できるわけではないと思いますが、評価制度がうまくいかず手詰まりになっているのなら、発想を転換して大きく舵を切ることも考えてみてはいかがでしょうか?