人事・労務情報

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「不満解消」と「満足度アップ」

 

お客様と「これからの人事施策の方向性」を話していると、いろいろな課題認識が出てきますが、これらは大きく2種類に分類できます。

 

1つは『衛生要因』に関するもの。衛生要因とは、これが不足するとすぐに大きな不満につながるが、一定のレベル以上になっても満足にはつながらないもので、‘不満要因’とも言えます。例としては、固定給水準、退職金、福利厚生、他人の処遇への納得感、将来への見通しなどが挙げられます。

 

もう1つは『促進要因』に関するもの。促進要因とは、これが不足しても特に大きな不満を抱くわけではないが、十分に提供することで社員への積極的な動機づけ・やる気アップを可能にするもの。つまり‘満足要因’であり、例としては表彰、周囲からの賞賛、仕事自体の面白さ、自己の成長を実感できるしくみなどが挙げられます。

 

 

これらはあまり区別せずに論じられることが多いですが、人事制度の企画者としては「不満の解消」と「満足度アップ」のどちらにウエイトを置いた課題解決をしようとしているのかを、まずはっきりさせる必要があります。なぜならば両者の施策は全く異なるので、これを明確にしないと人事政策の軸が決まらないからです。

 

また、衛生要因に大きな問題を抱えた状態では、いくら促進要因を強化してもほとんど効果が期待できないという特性もあるので、それらを総合的に踏まえて、自社の基本的スタンスと戦略のあり方を経営トップと十分に議論したうえで、具体的な人事制度企画に着手すべきでしょう。

 

 

社員のやる気向上を目指すと言っているが、やっていることは不満解消のアプローチだったり、社員が不満でブーブー言っているのに満足度アップの施策を先行して考えているということがないよう、気をつけて仕事を進めたいものです。