人事・労務情報

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福利厚生はセーフティネット?

 

「これからの福利厚生はどうなっていくか?」
これは、個人的にかなり興味深いテーマです。

 

もはや福利厚生なんか必要ない(=すべて労働への対価として給与で支払うべき)という意見もありますが、まだまだ少数派です。

 

比較的増えてきているのが、『福利厚生はセーフティネット』という考え方でしょうか。日常生活の補助や余暇支援は会社が行うべきことではなく、いざというときの支援(本人弔慰金、育児・介護への支援、長期所得保障など)を中心に行うべきという意見です。

 

しかし、本来セーフティネットというのは国や自治体が政策として行うべきものであり、それを会社が用意しなければならない理由はありません。この点で、「福利厚生はセーフティネット」とする主張にはやや違和感を感じます。

 

なるほど、この20年くらいの間に福利厚生施策は大きく様変わりしてきました。社宅とか保養所とか、スポーツクラブの法人会員などは次々と姿を消し、最近では企業年金にもメスが入るなど、全員一律・バラマキ型でない「必要な人に必要な支援を、できるだけお金をかけずに」という方針で、施策が絞り込まれているようです。

 

そういった方針と機会の均等性を両立させるために『カフェテリアプラン』という手法も存在します。
しかし、これらはどちらかというと会社の財務上の要請によるものが多く、福利厚生の本質を考えた上での施策とは言いがたいでしょう。コスト削減のために福利厚生制度を減らしていった、その方便として「セーフティネット」という言葉が都合よく使われている気がします。

 

 

そこで、私なりにこれからの福利厚生を定義すると、「それがないと、みすみす人材の流出を招くもの」という感じになります。福利厚生はあきらかに衛生要因ですから、これで社員のモチベーションアップをねらうのではなく、あくまで不満要因の除去という性質を持ちます。

 

かつては、それが社宅だったかもしれません。しかし、この多様化の時代に「なくてはならない福利厚生とはいったい何なのか」——— こういったことをゼロベースで考えてみると、会社ごとに、今までとは全く違った展開が考えられるかもしれませんね。

 

 

「これからの福利厚生はどうなっていくか?」

 

これに対する明確な答えは、まだ持っていません。