人事・労務情報

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研修で社員は成長するか?

 

社員の成長につながる施策を推進していくことが、人事の大きな役割であることは誰にも異論がないところですが、教育投資を有効に行うというのは非常に難しいことだと、研修講師の仕事をするようになって改めて痛感します。

 

早い話が『研修中の居眠り』です。居眠りの原因は講師のほうにもあります(=要するに話が面白くないため眠くなる)から、それはそれで反省しなければならないのですが、それにしても目に余る状況の時(やる気がないとしか思えない)もあって、数十万円の研修料金を払っているのに受講者がほとんど何も吸収せずに帰っていくというのは、研修運営側としては我慢ができないことでしょう。しかも、寝ている人に対してもちゃんと給料が払われているのだからなおさらです。
こんな状況で、いくら研修の機会を増やしても、社員の成長につながるはずがありません。

 

私は自分でも有料のセミナーや研修を受けることがありますが、目的意識をもって自分のお金を使って参加している人は、まず居眠りなどをすることはありません。まれに途中で「これはハズレだな。ほとんど学ぶべきことはないな」と思うことはありますが、その時はさっさと退席するようにしています(そのまま座っていても時間のムダですから)。

 

 

研修で社員の成長を期待するなら、『各自が明確な目的意識を持って研修に臨む』状況を作っていくことが不可欠です。具体的には、一部の必須研修(業務に不可欠な知識・スキルを習得するためのもの)を除いて、強制参加をなくし、自分が必要だと判断した研修に各自で申し込むしくみを作る等のやり方が考えられます。研修機会に差が出るのが心配ならば、毎年一定の「研修受講券」を配付し、その範囲内で受講を認めるようにするのです。

 

要は、「教育・研修は会社が費用を負担するもの」という考え方から、「教育・研修は自分で身銭を切って行うもの。ただし、やる気のある人には会社は一定の金銭的援助をする」という考え方に転換をするということです。

 

皆が『何かを吸収してやろう』と目をギラつかせて学ぶ姿勢があれば、研修は必ず人を成長させます。せっかくの投資が「死に金」にならないようにするためには、受ける側の意識改革を迫るしくみを作る、これに尽きると思います。