人事・労務情報

02
21

人事を悩ませる5つの天敵 (1)わからずやの役員たち

 

「天敵」という言葉は適当でないかも知れませんが、人事部が「いい仕事」をしようとしたときに障害になることが多いものが5つ存在する、と私は考えています。

 

その一つめが「わからずやの役員たち」です。

 

 

人事部というのは『経営スタッフ』ですから、本来、社長をはじめとした役員たちとは一心同体で動くというのが理想です。

 

しかし、現実はなかなかうまくいきません。(人事部の力量は棚に上げて話をしますが)役員も決して万能ではなく、また、人事の分野は「個人の価値観」がけっこう幅をきかせる世界ですから、なかなか議論が一枚岩では進まず、その結果人事業務が滞ってしまうということは、どこの会社でもありがちです。

 

 

私の経験上、「人事を悩ませるわからずやの役員」の特徴は以下の通りです。

 

①先入観・偏見・固定観念が強い
右肩上がりの時代の成功体験のイメージが強く、「結局、昔の人事マネジメントのやり方が日本人には合っているんだ」というような主張をするパターンです。柔軟な発想ができず、人によっては、発言に差別的思想(男女、人種、学歴など)が感じられる人もいます。

 

②部門の利益代表としての発言が多い
曲がりなりにも役員ですから、会社全体の視点で判断していただきたいのですが、事業本部長を兼務していたりすると、「それは自分の本部にとってメリットがあるか否か」という点ばかりにこだわる人は多いです。役員間で利害が対立して話が前に進まないパターンです。

 

③保守的な判断しかできない
役員がリスクを恐れるあまり、人事制度などの企画が骨抜きになっていくパターンです。たしかに、コンプライアンスの視点は重要ですが、「他社での成功事例はあるのか?」とか「その考え方は世間で一般的なのか?」「訴訟のリスクはないのか?」といった質問が繰り返されると、「自分の任期中にあまり大きな変革はしたくない」と言っているようにも思えます。

 

 

まあ、役員を自分たちが選ぶことはできないので、それぞれの人の特性をよく踏まえながらうまく付き合っていくしかないのですが、人事制度の全面的改定のような「大きな変革」をする時には、「今の役員たちにそれだけの判断ができるか。責任を担えるか」ということを考えて、企画推進のタイミングを図るのも重要なことだと思います。

 

頭の痛い話ではありますが・・・・・