人事・労務情報
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「成長本位制」人事制度のすすめ①
私が初めて人事制度設計の仕事に関わってから20年以上たちますが、その間人事制度のトレンドはほとんど変わっていません。それは一言でいうと『人件費の再配分に重きを置いた成果主義』、つまり、成長が鈍化してトータル人件費を増やせないという事情の中で、ハイパフォーマーの給与は増やし、そうでない人の給与は減らすことで成果の促進と人件費コントロールを行うという非常にわかりやすい構造です。また、「ヒト」よりも「仕事」にフォーカスした制度運用を行うことが基本となっています。
ところが、皆さんご承知のとおり、このトレンドに沿った人事制度はなかなか効果が上がっていません。
人事制度の本質は「みんなが生産性を高めるように努力することを促すこと」であると、私は考えているのですが、どうも多くの成果主義型人事制度はここに向かっていないと感じられます。
いくら会社が「人事制度改定を通じて社員のやる気向上をねらう」と言っても、社員の側には人件費コントロールという会社都合が透けて見え、マジョリティは半ばあきらめたような気分で新しい人事制度に対峙している、という状況があちこちで発生しているのではないでしょうか。
そこで私がおすすめしたいのが、「成長本位制」人事制度の構築です。
これは決して成果主義を否定するものではなく、「仕事の成果の起点はすべてヒトの成長にある」という考えに基づいて、徹底的に【ヒトの成長】にフォーカスした人事マネジメントをすることで、最終的に成果の最大化を図ろうとするもの、つまり成果主義の形態の一つと言えます。
すべての人には成長の余地があるため、特定の層をターゲットとするのではなく全社員に当事者意識をもってもらうことが可能ですし、何より「前向きなマネジメント」につながることに大きな特徴があります。
「理屈はわかるがヤル気がでない」という従来の成果主義型人事制度の欠点を克服するものとしての【成長本位制人事制度】、具体的にどのような設計が考えられるかについては、次回の記事で考察してみたいと思います。