人事・労務情報

03
23

障がい者採用のあるべき姿

 

クローズアップされることはあまり多くないですが、人事担当者が常に課題認識を持っているものの一つに『障がい者採用』があります。

 

はじめからやる気のない会社もありますが、それは論外として、多くの会社は「社会的責任としてその必要性、重要性はわかっているが、現実にはなかなか対応が進んでいない」というのが実情ではないでしょうか。

 

 

確かに障がい者雇用には多くの負担が伴います。オフィス環境の整備に始まり、日々のケアや業務フローの変更など周囲のメンバーの協力も不可欠なので、短期的にはどうしても職場生産性が低下しますから、景気のいい時ならともかく、業績が厳しい時期はできれば避けたいという企業側の論理もわからないではありません。

 

 

しかし、その発想では、今後障がい者採用がいい形で進んでいくとは思えません。

 

 

障がい者採用にどのように取り組むか、というのは、突き詰めれば「会社としての存立理由」をどう考えているかという哲学的な話にまで遡ることになると思います。

 

つまり、「そもそもウチの会社は社会・地域への貢献をするために存在しているのだ。障がい者雇用も満足にできないようなら何の意味もない」と言い切れるような会社であれば、コスト云々でなく当然のこととして積極的な採用ができるでしょうし、会社と社会・地域との関係を経済合理性中心に考える会社であれば、どうしても前述の例のように「総論賛成、でも各論になると・・・・」という腰の引けた対応になると思います。

 

 

ユニクロ(ファーストリテイリング)のように障害者採用が進んでいる会社というのは、やはりそのへんの企業哲学がしっかりしています。採用される側にとっても、そんな会社で働けるほうが幸せであるのは間違いないでしょう。

 

 

国の政策として、法定雇用率を決めて罰則(納付金や公表)などで強制力を働かせるのも必要だとは思いますが、障がい者が働きやすい会社での雇用機会が拡大していくようなしくみ(採用すればするほど経済的な支援+その他企業価値が増大するようなメリット)を強化していくことも考えたほうがいいのではないかと、個人的には思っています。