人事・労務情報

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ストレスに強い学生の採用

 

メンタルヘルス問題が顕在化している会社が増えている昨今、「最近の若い人は精神的に弱い」「だから、少しでもストレスに強い人を採用したい」という声をよく聞きます。

 

ところで、ストレスへの強さを採用段階で見抜くことは可能なのでしょうか

 

人の内面的なものを量るというのは困難ですが、採用面接というのは『その人の行動特性を確認する場』なので、これまで経験した試練やその際のストレスへの対処方法などを丁寧に確認することで、ストレスへの強さをある程度評価するというのは、全く不可能ではないでしょう。

 

しかし、これから仕事で直面する困難の大きさ・複雑さは学生時代までのそれとは比べ物にならないですから、なかなか「見抜く」というレベルにまではいかないと思います。

 

また、ストレス耐性が判定される適性検査などもありますが、そのスコアが低いからといって将来メンタル不調をきたすとも限らない(経験上、判定の信頼性がさほど高くないものも多いです)ため、それだけで不合格とすることはお勧めできません。

 

いずれにしても、水際対策のように「ストレスに強くない人を、採用時に選別する」という考え方にはちょっとムリがありそうです。

 

私は、メンタルヘルス対策の根本は『ストレッサーを最小化する取り組み』だと思っています。現状の‘ストレッサーに満ちた状況’を前提として社員のストレス耐性を求めるのでなく、職場環境の方を改善するという考え方です。

 

メンタルヘルスの問題が少ない会社の共通点として、業績が上がっているということに加え、社員同士が信頼や友情で結ばれていて日常のコミュニケーションが多いということが挙げられます。求められる仕事のレベルが高くなるというのは避けられませんが、「ストレスに強い組織」は職場に発生するストレッサーを早い段階で、職場ぐるみで解決するという自浄作用が働いているといえるでしょう。

 

職場の風土形成の問題なので一朝一夕にはできませんが、こっちの課題にトライしていくほうが前向きだしやりがいのある仕事だと思っています。