人事・労務情報

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いまどきの若い人

 

管理職向けの研修などをしていると、「いまどきの若い人の気持ちがわからない」「どのように指導していいのか迷う」という声をよく聞きます。

 

しかし、これは若い人から見ても同じで、「上司の言っていることは価値観が古く理解できない」「なぜ怒っているのかわからず対応に困ることがある」など、自分と違う世代への不満があるのはお互いさまと言えます。

 

世代間の意識のギャップはいつの時代にもあります。今は完全におじさんの部類に入る私の世代も、新人の頃は『新人類』と言われ、「やつらの行動や考え方は理解に苦しむ」と評されたものでした。

 

育つ時代背景が違うのですから、これは当然のことでしょう。それを問題として取り上げて、何が違うのか、なぜそのような世代間ギャップが生じるのか等を細かく分析するようなことはあまり意味があることとは思いません。

 

働く人が考えるべき本質は「どのようにすれば職場の生産性が上がるか」ということですから、部下のマネジメントにあたっては、世代間の意識・感覚のズレがあることを前提に、生産性アップのために具体的に身につけるべき行動様式・スキルや期待する役割などを合目的的に考えていくことが必要です。
「人に対する感情論」ではなく、その人に成果を出させるための方法を冷静に、合理的に考えるということです。

 

また、部下マネジメントについての一般論・流行の考え方に流されないように気をつけることも必要だと思います。

 

たとえば、『コーチング』の考え方。
「指導ではなく支援」「答えは本人の中にある」「自発的に考え、決めてもらう」などの基本思想に異論はないのですが、これを全面的に新入社員に行っていくことには違和感があります。

 

自立・自律の度合いがまだ不十分な人に『自由と自己責任原則』を用いるのは残酷なことだと、私は考えています。
ですから、若い人へのマネジメントにあたっても、本人の自主性は重んじつつ、仕事の基本やビジネスマナーなどの‘社会人としての必要条件’については『ティーチング・指導』で叩き込んでいくというやり方が、今の時代でも妥当であると思うのです。

 

価値観も生活様式も違う人たちが職場でうまくやっていくために必要なのは、「我々は何を目的としてここに集まっているのか」という根本的な部分の共通認識。色々なことをここから発想するということが、部下マネジメントのヒントになるのではないでしょうか。