人事・労務情報

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人を育てるのがうまい上司

 

コーチングやカウンセリングを学ぶと「コミュニケーションの基本」として、傾聴や承認と並んで出てくるのが『質問のスキル』です。

 

私の知る限り、人を育てるのがうまい上司は例外なく「質問上手」です。

 

事例を一つ。

 

ある上司は‘禅問答’的な質問が好きで、部下に対して事あるごとに「営業とはなんぞや」「顧客満足とは何ぞや」「人はなぜモノを買うのか」・・・・・といった、なかなかすぐには答えられない質問をしょっちゅうしていました。

 

この上司を煙たがる人もいましたが、それでも結果的に多くの「できる人材」を育てました。なぜなら、このような上司からの知的プレッシャーが、「物事の本質を考えるチカラ」のトレーニングになっていたからです。

 

忙しい日々の中で、人は「本質を見失った仕事」「手段がいつの間にか目的化してしまった仕事」をしてしまいがちです。しかし、上記のようなトレーニングがなされた人は常に目的意識をもって仕事ができるので、高いレベルの成果があげやすくなるのです。

 

質問のスキルにはいろいろと種類がありますが、私はこの類の‘禅問答’的な質問、つまり『抽象的で短い質問』を繰り返すことは、部下を育てる効果が高いと考えています。

 

ただ、この質問を行うには2つの注意点があります。

 

①質問者が模範解答をもっていること
→後でそれを聞いた部下が「なるほど!」と納得できるような『オチ』がなければ、ただの嫌がらせの質問になってしまいます。

 

②部下の精神的状況を見極めて行うこと
→この類の質問をされるとかなりプレッシャーがかかるので、精神的に余裕がないときに多用すると、メンタル面での問題を引き起こす可能性があります。

 

あと、何より欠かせないのは「この人を育ててやろう」という愛情
上司・リーダーの要件をつきつめていくと、やはりここに行き着きますね。