人事・労務情報

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就業規則についての諸説あれこれ

 

労務管理のベースになるのもとして、就業規則が非常に重要であることは間違いありません(「就業規則なんて必要ない!」とおっしゃる経営者もいますが、今回それは置いておきます)。

 

ただ、それを作るプロセスについては、人によって相当考え方が違うようです。

 

【①省力派】
⇒就業規則の内容は、どこの会社も似たようなものなので、ひな型をそのまま使っておけばよい。
【②手間暇かける派】
⇒就業規則は、その会社で働く人のバイブルであり憲法である。内容次第で組織風土も生産性も大きく変わってくるので、一からしっかり議論してオリジナルのものを作らなければならない。

 

両極端の考え方を紹介しましたが、一体どちらが正しいのでしょうか?

 

 

(特に就業規則作成に力を入れている)社労士には②のスタンスの人が多く、顧客にもそのような提案をするケースが多いので、こちらが望ましいような気がします。
しかし、②が有効なのは、経営者が「理念や人事ポリシーを重視しており、それにこだわったマネジメントを強力に行っている(行おうとしている)場合に限るということです。
普段のコミュニケーションでは明確な方針や哲学を示されることがないのに、就業規則だけ気合の入ったものを作って、結局従業員には何も響かなかったというケースも少なくありません(まあ、経営陣が真剣に議論したというプロセスだけでも意味があるかもしれませんが)。

 

よって、そこまでの経営的な土壌がない場合は、①のようにひな型を利用した作成プロセスが現実的であると言えるでしょう。
ただし、項目によっては会社の実情に合わないものもありますから、全くのコピーはよくありません。最低限、一つひとつをチェックしてカスタマイズするくらいの労は惜しまないようにしたいものです。
この場合でも、各項目を規定する意味や法的根拠、想定されるリスク等々、具体的なことがわからなければカスタマイズも簡単ではないので、専門家に相談するのが望ましいと思います。