人事・労務情報

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傷病休職中の社員の定年後再雇用について

 

平成25年の法改正で強化された「65歳までの継続雇用の義務」、各社で徐々に対象者が増えてきて、いろいろな運用上の問題が発生しているようです。

 

先日も、ある会社から「傷病休職中の社員が定年になり、本人は体調が戻り次第再雇用で働くことを希望しているのだがどうしたらよいか」という質問を受けました。
法的には『就業規則に定める解雇・退職事由に該当すれば再雇用しなくてもよい』ということになっているため、‘解雇の猶予措置’とも言える休職期間にある人がそれに該当するのか?という議論になり、なかなか最終判断ができずにいました。

 

結局、本人が希望を取り下げ、「一旦定年退職とし、復調したら改めて再雇用の相談をしましょう」ということで落ち着いたのですが、今後同様のケースがあった際にどのように対応するべきなのでしょうか?

 

 

リスクヘッジとしては、就業規則の休職規定に「○条の休職期間の定めにかかわらず、定年に達した時は休職期間満了とする」という条文を入れておき、休職中の人は定年後再雇用をお断りできる状況にしておくのが望ましいでしょう。

 

しかし、それはあくまでトラブル防止のための打ち手であって、肝心なのは「高年齢者の継続雇用に関する方針」を定め、前向きにマネジメントするしくみ・風土を作っていくことではないでしょうか。
そのような土壌があれば、今回のようなケースでも、個人ごとの活躍のシーンを想定してそれに向けた個別対応を考える(ex.早めの復調が期待できれば、最初は欠勤となっても即再雇用する・・・等)ことも可能になるでしょうし、具体的な判断がしやすくなると思います。

 

 

高齢者雇用に関しては、今後は「法定の最低限のことだけやっておこう」というスタンスでは対応できない時代になります。
法改正による各種の義務化をネガティブインパクトと捉えるのでなく、高齢者が活躍できる前向きな風土をいち早く作った会社こそが、生産性を高めて伸びていくのではないか、と私は考えています。