人事・労務情報

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安上がりな人事施策とは

 

右肩下がりの社会環境の中では、人事施策を考える際にどうしても「コスト効率」を重視せざるを得ません。

 

いかに人件費を抑えるか、というのは多くの会社において優先順位の高い課題であり、そのことが数々の労務問題の引き金になっていることは疑いようのない事実でしょう。
ただ、コスト効率を重視するあまり、社員の納得感の低い施策を行い、結果的に組織の生産性を下げるというのでは、長期的に見た場合かなりのコスト高にもなって本末転倒です。

 

 

それでは、長期的コスト効率の高い(結局一番安上がりな)人事施策とはどのようなものでしょうか?

 

 

短期的には『人員削減』(=採用抑制含む。頭数を一定数以下に抑える施策)だと思いますが、
長期的に考えると『人を育てる』というところに行き着く気がします。

 

 

役割期待の低いローパフォーマーの給与ダウンは法的に簡単ではなく、また、経験上からも決して生産効率を上げる施策とは言えません。運用に多大なパワーを費やす一方で、本人のやる気アップなどの「前向きなパワー」を発生させることは期待できないからです。コスト効率のことだけを考えても「結局高くつく」という実感を持っている人事担当者も多いのではないでしょうか。

 

時間はかかりますし、かなりの工夫が必要ですが、人の成長にこだわって、前向きかつ粘り強く人材育成施策に取り組むことは、「望ましい副作用」も引き起こし、最終的に最も安上がりな人事施策とすることが可能だと考えます。

 

 

もちろん、社員全体の納得感のためには「同一価値労働同一賃金」原則をベースとした報酬のしくみを作り、正規・非正規の問題を解決するとともに、社員が緊張感をもって仕事に臨む環境を整備することは必要ですが、それは「衛生要因」だと割り切りることが必要です。

 

「人の成長」の方をメインに置いた人事制度を展開することで、コスト効率の向上にも貢献する——理想論かもしれませんが、追求していきたいものです。