人事・労務情報

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人事制度と労働法の相性が悪いワケ

 

以前、個人ブログでも、労働法を「人事を悩ませる天敵」の一つとして挙げたことがあるのですが、これからの『あるべき人事制度』を考えていくと、労働基準法その他の労働法と矛盾する点が出てくることがあります。
社員とWin-Winを目指すものであるにもかかわらず、法律が障壁となって思うように制度改革が進まないというのは、多くの人事担当者が経験していることではないでしょうか。

 

労働法が古く、時代の変化に追いついていないという問題もありますが、人事制度と労働法の相性の悪さは、それぞれが【前提とするもの】の違いに最大の原因があるのではないかと、私は考えます。

 

簡単に言うと、

 

●人事制度が前提とする(していこうとする)もの
=「社員と会社は対等な契約関係にある」

→自立度の高い人(≒ハイパフォーマー?)を中心に考える

 

●労働法が前提とするもの
=「社員は会社よりも立場が弱く、保護する必要がある」

→自立度の低い人(≒ローパフォーマー?)を中心に考える

 

といった違いがあるということで、そりゃあ相性が悪くて当然だろうという気がしますね。

 

 

どちらかが正しいというものではなく、人事マネジメントにあたってはどちらの観点も必要です。

 

いくら立派な人事制度を作っても労働法に反することをやっていれば、社員の不満が増すだけでなく『ブラック企業』として様々なペナルティを受けますし、逆に、いくら労働法をきっちり守っていてもそれだけでは組織は活性化せず、人も育ちません。

 

個人的には、人事制度の企画をする前に「労働法遵守」という衛生要因といかに向き合うかという点をしっかり議論して会社としての考え方を明確にすることが、今後はかなり重要になってくるのではないかと考えています。