人事・労務情報

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定額残業代制度

 

定額残業代制度というのがあります。

 

はじめから残業代が手当として給与に組み込まれ、実際に残業したかどうかを問わず、毎月定額が支払われるというものです。

 

 

もちろん、実際の残業時間に応じて計算された残業代がその額を上回った場合は、差額を追加支給しなければならないので、会社にとってはコスト削減ができるわけではありません。むしろ、残業をしない人にまで払わなければならないので、新規に導入すればコストアップの可能性が高いものです。

 

 

最近では、「名ばかり管理職」問題への対応策として、この定額残業代制度を採り入れる会社が多いようです。つまり、残業代を払い、かつ、支給総額がこれまでとほぼ同じになるようにするための方策ということです。

 

 

たしかに、このやり方は社員にとって不利益にならず、会社のコスト増も低く抑えることができるのですが、運用をはじめると困った問題に直面することがあります。
例えば、時短勤務社員の給与設定のしかたです。

 

通常、時短の人の給与は労働時間に比例して支払うことになりますが、この人にも定額残業代を支払うかどうかという問題が発生します。時短で働いている人に対して「一日当たり○○hの残業を前提とした手当」を支払うというのは論理矛盾なのですが、かといって、今まで管理監督者扱いだった人が定額残業代をもらえないとすると、大幅に給与が減ってしまうということになります。

 

おそらく多くのケースでは、論理矛盾を承知のうえで定額残業代を払っていると思いますが、やはりしっくりきませんね。

 

 

意外と解決が難しい問題ですが、今後さらに働き方が多様化していく中でこのような矛盾が起こらないようにするためには、給与の決め方をもう一度ゼロベースで見直し、「会社への提供価値、貢献期待に合ったフレキシブルな設定ができる制度」を構築していくことが求められると思います。昭和時代を支えた古い制度は、やはり色々なところで限界にきていると感じます。