人事・労務情報

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試用期間≠クーリングオフ期間

 

「試用期間」というのは、たいていどこの会社でも就業規則に設けられている項目です。

 

この試用期間、以前は3ヵ月くらいが標準でしたが、最近はやや長め(5、6ヵ月)に変更する会社が増えているようです。これは、特にメンタル疾患を持つ人の場合などで、職務遂行に問題があるかどうかを見極めるのに時間がかかるケースが増えている、ということが背景にあります。

 

ところで、時々、試用期間を「会社側が自由に解雇できる期間」と、商品のクーリングオフ期間と同等に解釈している人がいます。
これはムリからぬことで、確かにその言葉からは「お試しだから、気に入らなければいつでも返品してくださいね!」という匂いがしますよね。

 

しかし、実際は「本採用の人よりも、会社がもつ契約解消(解雇)の裁量が広い」程度にとらえるべきものです。つまり、訴訟になったときに会社側が敗訴する可能性がやや低いということは言えますが、正社員の解雇に準ずる正当な理由と手続きは必要ということです。

 

社員の側も、契約解消されたときに「試用期間中だったら仕方がない」という意識になる可能性があるので、試用期間があること自体が訴訟を起こされるリスクを軽減する効果があると思いますが、現実に本採用拒否をしようとする際には、その限界を十分に踏まえて慎重に判断していかなければなりません。