人事・労務情報
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何のためにルールを守るのか
最近の大企業の悩みの一つが、「間接部門とそこに属する社員の増加」です。
企業の社会的責任に関するテーマは毎年のように増え、気がついたら、業績は伸びていないのに間接部門の社員数は倍増していたというのはよく聞く話です。人事部門でも、メンタルヘルス,セクハラ・パワハラ対応,LGBT対応,個人情報保護,同一労働同一賃金対応などなど、労務コンプライアンスを中心に最近になって発生した『やらねばならない事項』に追われているというのが多くの会社の現状です。
会社の生産性向上につながらない仕事に貴重な資源を投入するというのは、ムダの極みですから、こういった間接部門の構成比増加に疑問をもち、「待った」をかけるのは、経営者としてきわめて健全な感覚と言えるでしょう。
もちろん、短期的な成果にはつながらないとしても、長期的に見れば会社の生産性向上に大きく寄与する(と考えられる)テーマも少なくないですが、中には『ルールを守ることが目的化』して、いたずらに仕事を増やしているというケースもかなりあるように感じます。
例えば、リスクの少ない取引の契約書チェックにすごく時間がかかるようになったとか、情報セキュリティを強化するあまりパソコンの使い勝手が極端に悪くなったとかのケースが増え、『ルールの番人』が増えたなあ・・・・・と感じられる会社はないでしょうか?
ルールを守ることが目的化した状況で仕事が増えていくというのは、会社の業績に貢献しないだけでなく、本人の成長にもつながらない、大企業病の典型です。
忙しい毎日の中、時には立ち止まって「この仕事の本質的な目的は何か。我々はそれに向かった仕事ができているか」という視点で考える習慣をもつことが、特に間接部門の社員には求められると思います。