人事・労務情報

05
05

外部専門家を使うことによる逆効果

 

クライアントの人事担当者と話をしていて、「私たちが言うよりも森さんからの方が効果があるので、(説明を)お願いします」と言われることがよくあります。

 

社長の認識を改めてもらいたい時とか、幹部社員の意識転換を促したい時とかに使われることが多いフレーズですが、この「外の人(専門家)から言われた方が効果がある」というのは本当でしょうか?

 

 

確かに、私が専門家として客観的立場から説明することで、社長や幹部社員の方があっさり納得してくれたという経験は、少なからずあります。
しかし、一方で「本来は人事部のメンバーが説明すべきもの。外部の人間にやらせるとは何事か」ということでかえって問題を深刻化させてしまい、逆効果だったという経験もあるのです。

 

この違いが何によって生じたかと言えば、【外部専門家と話を聞く側(経営陣)の信頼関係の有無】にあると私は考えます。
自分の意向と合致していれば話は別なのですが、それとは違う方向で説明がなされた際に、ただ「専門家の言うことだから間違いないだろう」と考えてくれる人は少数派です。
それまでの実績の中で信頼関係ができていれば、「あの人が言うのならば大丈夫だろう」となるでしょうし、信頼されていなければ「なんで外の人にそんなことを言われなければならないのか」と、逆に心証を害する可能性が高くなると言えます。

 

 

私自身も強く意識しなければならないことですが、外部専門家は窓口の担当者だけでなく、経営陣、さらには社員の方から信頼される存在になることが必要です。
逆に言えば、関係性が不十分な状態で、「専門性による説得力」を期待すると逆効果になる危険があるということを、クライアント側は認識しておくべきですね。