人事・労務情報

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人事制度が目指すべきもの

 

人事制度が目指すべきもの、そのキーワードは「成長」と「成果」、これに尽きると考えています。

 

一部の例外を除いて、私が今まで関わった人事制度の構築・改定の【基本方針】はほとんどこの2語に集約されると言っても過言ではありません。

 

ところが、各論を検討する段階で、社長や役員の人たちが今まで気になっていたこと(気に入らないこと)を具体的に口にしだすと、全体の方向感が少しずつ変わっていくことがよくあります。最後には、この人事制度改定はいったい何を目指してやっているのかが企画主体である人事部の担当者にもよく分からなくなることさえあります。
こうなると、その人事制度改定がうまくいかなくなるのは言うまでもありません。

 

 

基本方針通りの改定が難しい大きな理由は、やはり人事制度、特に「成果」の部分と賃金が密接に絡んでいることでしょう。
本来『成果主義』とは、「組織の成果志向を高め、仕事の成果を最大化することを柱として様々なしくみを運用していくこと」であるはずなのですが、いつの間にか「成果を上げた人とそうでない人に大きな賃金差をつけること」といった狭い範囲の定義になってしまっています。それが現実。お金の持つメッセージ性、経営上のインパクトはそれだけ強いということですね。

 

 

そこで私は、(もちろん「成果」の視点もきちんと入れつつ)思い切って「人の成長」にウエイトを置いた『成長本位制』の人事制度を構築できないかということを常々考えています。

 

詳しくは別の機会に述べたいと思いますが、大雑把に言うと目標設定や評価等はすべて「人の成長」を主眼としたしくみに組み立て直す(=中心に「仕事」ではなく「人」を置く)こと、さらにそれらを賃金とは切り離すことで、「成長」と「成果」がバランスよく促進される、元気のある会社づくりができるのではないか、ということです。

 

 

かなり大幅な制度改定をすることになるので、おいそれとは実行できませんが、とある組織で近々本格的に検討することができるかもしれません。

 

何とか成功事例を作ることが、私の当面の目標であります。