人事・労務情報

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「いい人事制度」の条件とは

 

私は、「人事制度の構築、運用支援」をメインの仕事にしており、これまで多くの会社の人事制度改定に関わってきました。
決してうまくいくことばかりではなかったものの、そういった事例も含めて、経験だけは着実に積み上がっているというのが実感です。

 

それらの経験を通じて、いい人事制度の条件は何か?ということを考える機会も多かったのですが、現在私の中で確立している一つの価値観があります。

 

 

それは、『いい人事制度は、組織学習を促すしくみがビルドインされている』ということです。

 

 

組織学習とは、生産性の高い風土(=成果を最大化し、人を成長させる風土)を作るためのプロセスのことで、例えば以下のようなものが挙げられます。

 

●リーダー同士が「評価会議」で、「価値の高い(=高く評価されるべき)仕事とはどのようなものか」を具体的事例をもとに議論し共有する。

 

●リーダーとメンバーは頻繁に面談を行い、目標設定~進捗状況の確認~成果の検証とフィードバックが丁寧に行われる(→PDSサイクルの定着)。

 

●リーダーのマネジメント行動は360度サーベイで多角的にチェックされる等、マネジメントレベルを上げていくための気づきの機会が提供される。

 

 

会社によっては、人事制度=給与・賞与の決定方式と捉えて、いかに合理的に人件費の配分を決めるかという視点に偏るケースもありますが、人事制度の本質は【ルールそのもの】ではなく、【運用プロセスの中で生まれるコミュニケーションのあり方】にあると、私は考えています。

 

 

もちろん、どのような人事制度を作るかはお客様が決めることであり、実際の仕事においては私の価値観を押しつけるようなことはしません。
しかし、表面的なルール変更でなく、本腰を入れた制度改定をしようとすれば必然的に「組織マネジメントの改革」につながりますし、できれば、そこまで継続的に関与させていただけるような仕事をしていきたいと思っています。